宮内庁御用職人謹製革鞄、『匠の革トランク』Nishio様コンビアタッシュケース

牛ヌメ革:(ブラック/額部分ブラウンのコンビ)
内寸基準:425-315-72mm(外445-335-85仕上り)
重  量:2.6kg
内部仕様:フタ内側2ポケット
     ピッグスウェードベージュ色
     内部底に305-215角のクッション
金具等 :amite Z-6610ダイヤル錠
     豊岡鞄タイプストッパー
     把手金芯A-4

書類ケース故、スマートなフォルムです

2011年の最終納品された逸品です。

10月23日に下記のお問合せをいただき、仕様を作らせて頂きました。

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 初めまして。私は日常的に本革アタッシェを使用しています。
この15年間で三つ目で すべてイタリアBarantani社の型番B21061
(外寸442×332×86、内寸 422×312×70)
を愛用しています。
 しかし国内唯一の取扱い店であった銀座の銀盛堂が数年間に閉店したため、
国内での入手が困難になってしまいました。個人輸入に対応してくれる海外のバッグ店もみつかりません。
仕事上A3サイズの書類を収納する必要があり、毎日用いるのでこれより厚みのあるバッグは持ち歩けません。しかし国内での既成品に上記サイズのものがないためオーダーを受け入れてくれる製造者を探していました。

 写真を拝見すると御社のアタッシェの仕上げや仕様は私の愛用している
Barantani社のものと共通点が多いので、注文を考えたいと思います。
サイズは上記と同一。色は緑。エッジの当て革は茶色にしてツートンカラーに。持ち手は心材入り。内ポケットの幅は全幅。内ポケットは伸縮式でなくフラット。できれば内部もバックスキン張り。
上記のような仕様で、製造可能か、工期はどの程度、費用はどの程度かについて、教えてください。既製品に対して相当高価になりそうですが。

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 その後、10通程のメールのやりとりで完成したのがこのモデルです。
当初の問合せから若干変化しております。

では詳細をご覧下さい。

 内部はフタの内側に大小2ポケットが、幅一杯に作られています。
内装のピッグスウェードが上品なイメージを引き立てます。

 フタのストッパーはシャンパンゴールドのスマートなデザイン

 コンビ色に捲かれた角の補強革。ゴールドの金具を引き立てます。

 角部分の革の重なりです。本体を捲いている黒い革の上に縁状にブラウンの革を重ね、継ぎ目が重なる八方角にさらに黒い革の補強が施されます。

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さて、2011年最期に納品させて頂きましたNishio様アタッシュケースですが、日々のビジネスをサポートし、さらにその存在感は強力なパワーを与えてくれることでしょう。

末永く活躍させて頂けますように!


後日談があるのですが、内部クッションの入れ方が間違って仕上がってしまいました。これに対して納品時にコメントを入れて修正のご意向を伺っておりました

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門田様

商品は大晦日に受け取りました。
クッションは仕様違いですが、この点だけで送り返してやり直すのはどうかと思っています。むしろ、納期は延びても良いので自主的に修正していただきたかったと思います。

商品を受け取ってイメージが異なるのは外観です。そちらの方がはるかに気になります。
10/23付けの私の見本写真を見てもらえれば、その差は分かると思います。

? ステッチの糸が太く、ピッチが粗く、色が皮革の色と異なります。
  私の見本では糸が細く、ピッチが小さく、色は茶と黒を使い分けており、
  ステッチが目立ちませんが、いただいた商品はステッチの違いにより外観
  の印象が異なるものになりました。上品さに欠けます。
? 皮革の表面処理が全体にツルッとしています。私の見本は精細な縮緬状の
  表面処理がなされています。この点も味わいに欠けます。

上記二点は私としては、満足できませんでした。オーダーするというのはなかなか難しいものだと勉強させてもらいました。

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このメールに対して匠乃からお送りしたメール

K.N 様

ご連絡ありがとうございます。
細部までご希望を叶えられず、申し訳ございません。

製法について若干説明をさせて頂きたく思い、メール差し上げます。

外部のステッチにつきまして、匠乃トランクの工場では、国内で唯一、本体木枠
と外装皮革を直接縫付けております。

これは昔ながらの手間のかかる製法で、木枠と皮革を直接縫い込むことでそれぞ
れががっしりと組合わされ、鞄自体の強度が強くなります。

現在、この作業を行なえるドイツ製のミシンをもつ工場が世界中でも少なく、ド
イツ製のアタッシュケースでもこの製法を行なうところはごく一部ではないかと
思います。

最近の製法は外側に捲く革同士を先にミシンで縫い合せ、木枠に張り付けてから
角の始末をするものが中心です。
こうすることで作業のスピードアップが図られ、また、見た目では同じような外
観を出すことが出来ます。

西尾様別注のトランクは、この木枠と皮革を直接縫い込む方法で制作しましたの
で、強度に見合う糸の太さ(革の厚みも関係します)が必要なのと、また、縫目
のピッチが細かいと、中の木枠が割れるて破損する可能性が高くなるため、ご指
摘のような太い糸、粗いピッチとなっております。

縫い糸の色に関しましては申し訳ございません。職人からの問合せに、角革が黒
色だったため黒糸で指示をしておりました。

皮革に関しまして、ヌメ革(自然のタンニンで革をなめす方法)は全く表面加工
をしておりません。
一般的に鞄に多用される革は、クロム鞣(金属薬品を使用して革をなめす方法)
という方法で柔らかくし、その上に型押しや塗装、シワ加工などを施します。

ヌメ革の特徴は、革自体が強く、内部に脂分を持っているため長年の使用で中の
脂分が出てツヤがでます。これにより雨などにも強くなります。

ヌメ革は固くて強いので、逆に薄くすると縫目から割れてくるため、繊細な加工
には向きません。

クロム鞣革は、色を付けたり表面加工することで、色々な表情の革を作れます
が、柔らかいため破れ(引っ掛けたときのカギ裂き)やすく、また、使用に合わ
せて傷がつき色も落ちてきます。

以上のようなことから、匠乃トランクでは「50年、80年後の子孫へ伝える」と
謳っているため、基本的に(ご要望が無い限り)使う程に味が出て、また何十年
も使えるようにヌメ革を使用しております。

以上が仕様に関しましての説明でございますが、どうしてもお気に召さない場
合、もしお送りした物にまだ傷などついていないようでしたら、ご返品下さい。
もう3ヶ月程お待ち下さればご希望に叶う物を再度制作いたします。

その場合、皮革は革問屋の在庫の中からになりますのと、糸を細くするには木枠
縫付けは角の八方革のみになりますことご了解下さい。


宜敷くお願い致します。


匠乃
門田

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この後、まだご連絡をいただいておりませんが、私もつくづくオーダーメイドの難しさを感じたところです。末永くご愛顧頂けたら嬉しいです。

「匠の固鞄」のお仕立て方法はコチラ

http://fm21.com/trunk/order.html


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